テディ(@Tdy_beer)です。
当たりの本を見つけたので自分の学びのためにもまとめておきます!
この本は名前の通り「サブスクリプションビジネス」について書いています。サブスクリプションビジネスってなんや?という人も多いと思います。サブスクリプション(英語ではSubscription)は、主に「購読」という意味で、定期的なものに使われることが多い言葉です。代表的なのは新聞ですね。月額定額で毎日届きますよね。
筆者はZuora社CEOのティエン・ツォさんですね。(Founder and CEO of Zuora: Tien Tzuo)
この本でも紹介されていますが、最近サブスクリプションビジネスに転換している会社が多くあります。Netflix、Hulu、Amazon Prime VideoなどはSVOD(Subscription Video On Demand)と呼ばれて、月額で動画見放題というやつです。動画の領域以外でも、ギターのフェンダーの例やライドシェア(UberとかLiftとか)、B to Bの領域でもシスコやGE(General Electric)の例がこの本には出てきます。携帯電話もある意味サブスクリプションビジネスと言えそうですね。月額いくらで使い放題、みたいなプランです。なので、けっこう身近なビジネルモデルになってきています。
ただ、この変化というのは企業にとってけっこうな改革が求められます。おそらく大企業で働いている方ほどわかるのではないでしょうか?一方で、顧客観点から考えると時代が移っていくのは必然だというのもよくわかるのではないでしょうか。サブスクリプションビジネスを検討している会社の、一人のサラリーマンとして印象に残ったところをまとめていきます。
所有から利用の時代へ
この本の中で、何度も言い方を変えて出てきますが、要は顧客は「モノ」を持っていることよりも、それがもたらしてくれる「結果」を求めているということです。
- 車は維持費も高いし、必要なときにカーシェアすればいい
- CDを買ったりレンタルするのはやめて、Spotifyの月額プランに入る
- DVDを買ったり借りるの面倒だし、月額いくらか払ってHuluを観る
こんなこと、身の回りで起きてないでしょうか?自分のまわりにはこんな人ばっかりです。これを受けて、「若者の車離れだ!運転の喜びを体験してもらう!」と言って、大量のお金をかけて若者に車を売りつけようとしてもダメです。本の中でもGMなどの車の会社が登場しますが、車の会社は車というモノを売っているのではなくて、「モビリティ=移動」というサービス・結果を売っているんですね。
最近トヨタも年額プランを出してきたみたいです。消費者は、車を買いたいのではなく、常に好きなときに良い車に乗りたいので、定額の契約にして、シチュエーションに応じて車を使い分けるという発想もありですよね。モノを所有したい、というわけではなく、利用による結果を求めているので、その結果から逆算して商売をやる必要があります。
顧客は開発のパートナー
本の帯に書いてある言葉が印象に残っています。
モノが売れず、すべてがサービスとして提供される時代には、顧客との長期的なリレーションシップが成長の鍵となる。
顧客とのつながりが大事な理由は、顧客の声に応じてサービスを進化させていくのが当然だからです。これまで商品開発は、事前アンケートやインタビューのために多額のお金を使い、その上で「伸るか反るか」のある意味ギャンブルの要素が強いものでした。しかし、今後は顧客からの直接の声である利用データなどを注視して、常に改善を続ける姿勢が企業に求められますね。商品開発チームも、製品発表前に徹夜して「正解」を探していた働き方から、顧客が「正解」を教えてくれるようになり、わかりやすくなりますね。(仕事は増えそうですが)
ここが月額定額制とサブスクリプションの違い、だと筆者は言いたかったのだと思います。従来の定額ビジネス、例えば新聞は、どの記事を誰が読んでいたか、どの程度の反響があったか、などは把握できていなかったと思います。しかしこれからは、どんな人がどのくらいそれぞれの記事を話題にしているかわかります。ターゲットごとに「こんな記事が読まれるのではないか?こんなことに興味がありそうだ」というフィードバックを得られることになります。
面白い例として、Gメールは永遠のベータ版だそうです。お客さんの声を聞きながらずっと開発途中。なんだか潔くてかっこよくて、個人的にはGメールに余計愛着がわいちゃいました。(買収されるときに問題になってベータマークを外したそうです)
ライフタイムバリューで考える
筆者はサブスクリプションビジネスの経営方法についても触れています。従来のKPIは通用しません。単に売り上げや利益を見ているだけではダメだということですね。一人の顧客から、どのくらいの利益が出ているか、LTV=ライフタイムバリューで考える必要があります。
大きな違いは継続期間が重要になるということです。顧客を獲得するのに5000円かかっていて、月額1000円のサービスを3ヶ月でやめられたら大赤字ですよね。ただ、従来のように数字を全体で見ていてはそれがわかりません。恥ずかしい話ですが、自分が今働いている会社でもこのようなことがよくあります。マーケティング費用のリターンがちゃんと検証できない・されていないのが理由です。獲得チャネルや時期ごとにしっかりLTVを基準に経営判断をしていく必要がありますね。
それは、古き良きビジネスを大きな規模でやるということ
本の一番最後に書いてあった一節が好きです。
かつて私たちは知っている人から物を買った。肉も、パンも、道具も、野菜も、どこの誰か知っている人から買った。売る側も買ってくれた相手のことを知っていた。たいていは同じ村に住む隣人だったからだ。
サブスクリプションビジネスは相手のことを知っているビジネスということですね。同じ村の人ほどではないでしょうが、自分のサービス内で何をやっているかはわかっていて、「ほら、これが欲しいんでしょ?キミはこれが好きだったよね」というようなことをサービス上で実現する。僕はけっこう素敵なビジネスだな、と思いました、なぜなら顧客の幸せが伴っていてWin-winだから。まぁ、アマゾンのレコメンデーションは正確すぎて怖いくらいだけど(笑)そんなサービスが当たり前になったら自分はありがたいと思うし、世の中もっと良くなると思うなぁ。
まとめ
自分の仕事に関係あることもあって、随分長文になってしまったな。AmazonもNetflixも大ファンだし、事業開発として自分も素晴らしい商品を世の中に出したいと思う。自分のやるべきことの整理のためにも、この本はすごく為になった。
ZuoraのCEOが書いた本だけあって、実践的で例が豊富でよかった。関係ない業界のパートは飛ばし読みしながらでも、経営企画や事業開発に関わっている人は読んでおくと良いと思いました。顧客が喜んで、それに適切な対価をもらうというビジネスがもっと普通になると良いですね。
Zuora社にも興味がわいた。幸い上場企業みたいなので、後日どんな会社か調べてまとめてみたいと思います。
じゃ、そゆことで。
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