「バリュエーションの教科書」で印象的なとこ抜粋&Netflixで検証

テディです。

Twitterで誰かがオススメしていて、図書館で速攻予約して受け取ったその日に読破しました。

「バリュエーションの教科書」著者は森生明さん。キラキラな経歴で、ドラマで話題になった「ハゲタカ」も監修したらしい。

あとがきでも書いてますが、前半と後半のオーディエンスが違う気がしました。(というか後半ついていけなくて、しっかり理解できたか怪しい。。。)

読書感想文的に感じたことを残しておきます!

 

シンプルな式をシンプルに説明している良書

本書の表紙の裏に書いてあるんですが、説明しているのは下記の2つの式だけです。

PBR (株価純資産倍率)= PER(株価収益率) x ROE(株主資本利益率)
PV(将来キャッシュフローの現在価値)= C (現在生み出しているキャッシュフロー) / r-g (割引率-成長率)
といっても企業の価値とか株価が適正か、とかを考えたことない人はこれだけでも難しい、というかアレルギーがあるかもね。最初の数ページ読んでみて、ちんぷんかんぷんと思ったら、もう少しベーシックなとこから入っても良いかも。
理論だけではなく、実例が実際の数字を使って紹介されているのがわかりやすくて好きでした。

印象に残ったフレーズ①

本の中のROEの考え方で好きだったのが、

ROEからスタートして、分母と分子に同じものを持ってくることで分解式は際限なく広がっていく。
経営企画の基本だな、と思った。例えば、
ROE = (利益/売上)x (売上/社員数) x (社員数/株主資本)

これを別の書き方をすると

ROE = 利益率 x 社員一人当たり売上÷社員一人あたりの資本投下額

になる。

こうして企業経営のゴールから、いろんなKPIを逆算して分解していくといろんなことが見えてくるし、どこに課題があるのか見えてきやすい。基本なんだけど、この分解するという発想はめちゃくちゃ大事だと思う。

そしてさらに良かったのが、「各要素は独立しておらず相互に絡み合っている点に留意」と書いてあったこと。上の例だと、「社員一人当たり売上」を営業のKPIにして、「社員一人あたりの資本投下額」を人事のKPIにしたくなるけど、実はこの二つはトレードオフの関係にある。教育のためのお金を絞れば、その分スキルが低下して一人あたりの売上は減ってしまう、とか。

全体を最適化するのは、各部署ではなく経営者や経営企画の役割であるべき。

 

印象に残ったフレーズ②

日本のファンドマネージャーやアナリストの質問は、次の四半期決算の見通しが上振れしそうか、下振れしそうか、そこばかり集中していて、中長期的な会社戦略や方針に対する質問は皆無。(中略)目先の利益が上がった下がったで大きく振れがちなのが日本企業の株価だとしたら、キャッシュフローをもとに本源的な企業価値を測る「物差し」を持っているファンドマネージャーから見れば、「逆張りで大儲け」のチャンスが転がっているのが日本の株式市場、ということになるのかもしれない。

大事な視点だと思った。決算の説明会とか聞いても、確かに日本企業のやつって目先の目標に対する質問ばっかりで、逆に外国のやつ聞いているとより経営者目線に近いというか、戦略的な質問が多いと感じる。「これだから日本は」って思ってたけど、逆にキャッシュフローをしっかり見て逆張りすればチャンスあるね。

企業の悪いニュースが将来のキャッシュフローに影響するかを冷静に見なくては。

 

印象に残ったフレーズ③

重要なのは、リスクを拾い定義で捉えた上で数値化することにあり、そのためにrとgを個別に論じることにあまり意味はないと私は考えている。言い換えれば、rは何パーセントが正しいのかを別個に論じるのではなく、r-gとして何パーセントが適切なのかをざっくりつかまえることが、経営者視点で重要なのである。

さっきのPVの式↓についてのコメント

PV(将来キャッシュフローの現在価値)= C (現在生み出しているキャッシュフロー) / r-g (割引率-成長率)

理論値の個別の数値を突き詰めることにあまり意味はない、という話。理論、というか計算式を知るとつい個別の文字を埋めに行かなくちゃ、と思ってしまうけど、この(r-g)についてはこの二つで構成されているってことを理解しておけばよくて、競合他社と比べて「こんなもんか」ってのをわかっておけば良いってこと、と理解した。

 

印象に残ったフレーズ④

株価評価やM&Aの話は、経営者や専門実務家の世界の話で、一般人には縁遠いものと映るだろう。しかし、根底にあるのはリスクを取ってリターンを追求する「エクイティ投資」のあり方の議論で、これは個人レベルでの人生節目のさまざまな意思決定に相通じている。

確かに株価評価とかM&Aの話って日常生活のいろんなところに出てくると感じる。

医者や弁護士がモテるとかって、数学はちんぷんかんぷんな女子が、男の現在価値を本能的に感じてるんだろうし、不動産投資もまさに将来のキャッシュフローの現在価値の話に落ちてくる。

だからこの種の話は感覚的にでも良いからどこかで触れておくべきだよなー。友達にぜひ熱弁したい。

そして、やっぱり「金利」ってコンセプトを理解するところからそれも始まるんだと思う。複利は人間の直感では理解できないって同僚が言ってたけど、その通りだと思う。30年後に2倍になって返ってきますっていう金融商品に「何それ!おいしいじゃん!」って思うか、「うーん、それって金利に直すと3%以下の話だよな」と思えるか。後者になれただけでも、投資でいろいろ勉強してきて良かったと思う。

 

数式をNetflix株に当てはめてみる

まず

PBR (株価純資産倍率)= PER(株価収益率) x ROE(株主資本利益率)

「Netflix stock」でぐぐります。

あれ、Yahoo Financeで見つけられない。別のサイトで見つけました。

まずROEが2018年Q3で29.53%。すさまじいですね。

PERは10/19の終値で$332.67。PERは118.78と書いてあります。めちゃ高い。代入してみます。

PBR = 118.78 x 29.53% = 約35

さすがにちょっとPERが高過ぎそうですね(笑)

次に

PV(将来キャッシュフローの現在価値)= C (現在生み出しているキャッシュフロー) / r-g (割引率-成長率)

これはPERにも下記のように代用できると本書に書いてあります。

PER = 1 / (r-g)

rがリスクを反映した資本コスト。gが将来への成長性です。

直近の決算の利益の成長率を決算資料から探すとなんと307%です。なんかわけわかりませんが、とりあえず代入してみます。

118.78 = 1 / (x-307%)

これを解くと x = 308%

うーん、なんかめちゃくちゃPERの高い株には応用すべきじゃなかったようです。

ただ一応、文字通りに解釈すると、Netflix株のホルダーはめちゃくちゃ高い成長を期待しているが、同時にそれはかなりリスクがあると思っていて高いリターンを望んでいると。

次はもっと普通の株でやってみます(反省)

以前自分がやった将来の利益の予想のアプローチのほうがなんとなく気持ち良いな、Netflixに関しては。

Netflixの適正株価を本気出して考えてみた
テディです。昨年にした大失敗の一つはネットフリックスという株を、「今は全体的に株高!調整が来るから含み益を確定!」ということで売ってしまったことでした。売るにしても長期的に伸びる会社どうか見てから売るべきでした。その後ネットフリックスは爆上

 

ただ、理論を学んだら実際の数字に落として考えてみるのが大事と思う。次はもうちょい計算できそうなコカコーラとかP&Gでやってみようかな。気が向いたら。

じゃ、そゆことで。

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