初めて生命保険の営業を受けて、断るまでに考えたこと

先日、初めて保険の営業を受ける機会がありました。

 

周りの話を聞いていると、みんなだいたい社会人5年目くらいまでに話を聞く機会があるみたいなのですが、友達がいないのか、今まで受ける機会がありませんでした。仕組みとしては知っておいたほうが良いと思うので、断る勇気がある人は一度営業を受けてみると良いと思います。

 

ファイナンシャルプランナーを勉強し、2級まで合格したことと、自分なりに資産運用を勉強してきたことで、保険という商品を具体的に知るのに役立ったと感じられたことが、嬉しかったです。

 

提案の内容

2つの商品への加入を勧められました。

  1. 掛け捨ての就業不能保険
  2. ドル建ての積み立て保険

それぞれについて、もう少し具体的に紹介します。

 

掛け捨ての就業不能保険

この商品は、「万が一、自分が障がい者になって働けなくなった時に、毎月一定の額を収入としてもらえる」保険です。今の自分の年齢(29歳)だと、毎月2~4千円払い、もしものときに毎月10~20万円もらえるのが相場のようです。

 

セールストークとしては、自分自身が生きていくのにお金がかかるのに加えて、養っていかなくてはならない家族がいるのに働けなくなってしまったとしたらどうしますか?そのような不幸はいつやってくるかわかりませんよ。というようなものですね。

 

ドル建ての積み立て保険

この商品は少し複雑です。「万が一亡くなってしまった場合に、残された家族のためにお金が残る生命保険をかけながら、支払いが終わる65歳にお金を増やしてお返ししますよ」というものです。

 

これだけ聞くと素晴らしい商品のように感じますね。保険の機能を持たせながら、お金が増えて返ってくるなんて、魔法のようだと感じる人もいるかもしれません。実際そういったセールストークをする営業の方もいると思います。後述しますが、この商品を理解するポイントは「リターンの年率」と「現在価値」です。

 

税金面での優遇

保険には税金面の優遇があります。具体的には新生命保険料、介護保険料、新個人年金保険料ということになります。興味がある方はこちらの国税庁のサイトをご覧ください。

携帯用サイト閉鎖のお知らせ|国税庁
年間の支払保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

まとめると、8万円まではだいたい払った額の半分が所得控除され、税金の計算から外れます。所得に連動する税金を30%払っている人が8万円の保険料を払い、確定申告をした場合は、40,000円の控除 × 30%で、12,000円が返ってくるイメージですね。

 

判断するために考えたこと

結論としては、どちらの加入も見送ったのですが、一つずつ判断したポイントをまとめます。

 

1. 掛け捨ての就業不能保険 – 判断のポイント

判断するために考えたのは、「自分が就業不能になった場合、もらえるお金にどのような変化があるか、それは最低限の出て行くお金を上回るか。」です。

 

もらえるお金は当然給料がなくなりますね。ただ、ゼロになるかというとそうではなく、障害基礎年金・障害厚生年金がもらえます。もらえる額は現在の収入や障害の度合いによっても異なりますが、最低でも年間60万円弱もらえるようです。

 

そのときに妻が仕事を辞めて専業主婦になっているときついのですが、共働きの今の状態であれば十分やっていけると判断しました。もちろん妻におんぶに抱っこのまま生涯を終えるのは嫌なので、自立することも考えますし、子どもが産まれる前であれば彼女のためにも離婚も視野にいれる必要があるかもしれません。いずれにしろ、両親を頼る、田舎に移住するなりして、生きてはいけるなと思いました。加えて、現在の自分の資産を約1000万円を3%で運用すれば、それだけで年収は30万円ほど増えますしね。

 

2. ドル建ての積み立て保険 – 判断のポイント

こちらを判断するために考えたのは、「保険の部分と運用の部分を分けて考えた場合、運用はどれくらいの利回りなのか、保険は必要なのか。」です。

 

自分の受けた提案は、35年後に1.5倍の金額で受け取れます、といったものだったのですが、計算してみるとリターンの年率は2.2%くらいでした。リスクフリーと言われる米国債が2%後半のリターンなので、微妙ですね。保険会社の経費が抜かれているので当然ですが。これなら自分で運用したほうが良いと考えました。

 

そして、保険部分は、自分の葬式代くらいの資産はあるので、不要ですね。

 

この保険は掛け捨てに比べて大きな金額での提案だったので、その金額保険会社に任せるならば、リスク低めの金融資産(米国国債とか)に投資しておいて複利で増やし、老後も配当をもらい続けたほうが得です。

 

つまり、「運用のリターンで割り引くと、35年後の1.5倍というのは現在価値に直すと1倍を下回っている」ということ。別の言い方をすると、「今の100万円と、35年後の150万円だったら、今の100万円のほうが良い。なぜなら自分で運用したらそれ以上増やせるから」ということです。

 

ちなみに過去の株式のリターンの平均は年率で5~7%と言われています。5%で運用できた場合、今の100万円は35年後には550万円になります。1.5倍どころか5.5倍ですね。もちろん、必要なときに暴落している可能性もあるので、長期で寝かしておける余裕資金での運用ということになりますが、増やすが目当てであればこのような保険は選択肢から外すべきでしょう。

 

まとめ

保険という商品は奥が深いようですが、自分が理解できる、単純な話に分解して考える必要があると感じました。自分で資産を育てていくのが王道だと思いますが、資産が少なく、運用も苦手という人にとっては保険はありかもしれません。ただ、自分ですべき運用を人任せにする分、リターンは低いということを理解した上でやるべきですね。短期で解約したら確実に損をするので、その点も普通の貯金や資産運用とは違います。

 

みんながとりあえず入っておくべきものではない、ということを知っておくべきでしょう。漠然とした不安からではなく、具体的なリスクや資金のニーズから逆算してベストなオプションを探していくべきですね。

 

保険の営業自体は、人を一人育てるのにどれくらいかかるか?家を建てる予定はあるか?老後はどのように暮らしたいか?など、ライフプランにかかってくるお金をざっくり計算した上でだったので、ある程度誠実だと感じました。加えて、ファイナンシャルプランナーとかなり近いな、と感じました。興味のある方は参考までに聞いてみるのも面白いかもしれません。ただ、営業が上手な方が多いので断る勇気がない人にはオススメしませんよ。

 

じゃ、そゆことで。

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